不動産を取得する場合の遺産分割手続きについて
遺産分割とは?
今回は、不動産を取得する場合の遺産分割手続きについて説明します。
遺産分割とは、法律で決められた相続人が全員参加して、相続財産の分け方を決定する手続をいいます。本稿では複数人の相続人がいた場合で、遺言書がない場合の遺産分割手続きについて説明します。
相続の対象
まず、 不動産とは、「土地建物その他の定着物」を指します。不動産には、田や畑、庭石など不動産に定着している物も含まれます。また、不動産ではないですが賃借権や借地権も原則として相続の対象になりますのでご注意ください。
賃借権が含まれる場合、契約の相手方との調整もしなければなりませんし、賃料の処理についても考えなければなりません。
相続税の申告期間が死後10ヶ月以内なので、考えることが多そうなら、早めに税理士や弁護士に相談した方が良いと思います。
不動産がある場合の遺産分割手続き
不動産がある場合の遺産分割手続きでは、不動産をあなたが取得したいのか、そうではないのか(お金など不動産以外の財産を取得することでも構わないのか)を決める必要があります。
あなたが、亡くなった方(親御さんなど)と同居していたのであれば、引き続き居住したいかもしれませんし、貸家などがあって収益が見込めるなら、その不動産を不動産のまま取得したいかもしれません。
不動産を取得したら、固定資産税を支払わなければいけなくなりますし、老朽化等への対処も必要になります。不動産の利用は長期間に渡ることが多いので、この点をしっかりと考える必要があります。
遺産分割協議
あなたが不動産を取得することに決めたなら、他の相続人との話し合いをすることになります(ここからが、一般的な遺産分割協議になります)。
遺産の総額を評価して、あなたが不動産を取得することで、他の相続人の取得分と釣り合いがとれるような分割案を考えるのが原則になります。
そのために、まずは土地や建物の評価額から調べていきます。不動産の評価については、色々な評価方法があります。
土地の評価
土地については、以下のような手法で土地の大体の価格を把握することができますが、厳密な評価額を知るには不動産鑑定士に鑑定してもらう必要があり、鑑定を依頼すると数十万円の費用が必要になります。交渉の段階でそこまで費用をかけられる方も少ないので、私が依頼を受けた場合は相続税評価(路線価)の手法で案を作ってみて協議に臨むことが多いです。
①相続税評価(路線価)
路線価は、相続税・贈与税などを賦課するために設けられている基準です。毎年更新されていますし、相続の場面で相続税の評価で話しを切り出していくのは自然な切り出し方になるので、この方法を使う方は多いと思います。
路線価はインターネットでも検索することができます。
国税庁のホームページ(大阪)
令和5年分 財産評価基準書 大阪府 (路線価図)|国税庁 (nta.go.jp)
路線価は路線価図という形式で表示されており、この図の見方についての説明書もあります。
説明を丁寧に読めば、路線価を調べることができると思いますが、難しければ不動産業者や税理士に相談するのも良いと思います。
②公示価格
公示価格は、国土交通省の土地鑑定委員会が特定の標準地について毎年1月1日に公示しています。これもインターネットで検索することができます。
国土交通省のホームページ
標準地・基準地検索システム~国土交通省地価公示・都道府県地価調査~ <検索地域選択(都道府県)> (mlit.go.jp)
③固定資産評価額
地方税法上の土地家屋台帳に記載された価格になります。
その物件の固定資産評価証明書を取得すれば分かります(相続人であれば、役所で取得できます)。
取得方法の簡明さが魅力ですが、土地の場合、固定資産税評価額は公示価格の70%程度の価格とされていますので、土地の価格が安く評価されるのが欠点ではあります
建物の評価
次に、建物の評価ですが、建物の場合、取りあえずは固定資産評価を調べると良いです。前項の相続税評価を用いる場合でも建物は固定資産評価額で計算します。
ただ、借地権付建物の場合は借地権割合による修正を加える必要があります。路線価図などを見ると借地権割合について記載されています。例えば、借地権割合が70%とされていた場合は土地の価値の70%が建物の借地権に付加され、土地の価値が30%になってしまいます。
建物が共有状態になっていた場合は、その持分割合しか価値がありませんし、2割程度の共有持分減価をすることが多いです。
他にも、長屋建物であったり、定期借地であったりすると修正が必要であり、接道の問題や再建築可能面積の問題もあります。
建物に住み続けることを考えるなら、取りあえず固定資産評価額で話しを切り出しても良いかもしれませんが、売却を考えるなら不動産業者に相談してみることを勧めます。
まとめ
これらのことを考えて、不動産の価値を大体把握したら、他の資産(預金など)との釣り合いを考えていくことになります。
相続について少しでも不安がある方は、親の家の相続に強い実家相続相続センターにご相談ください。