空き家問題
実家の相続にとって、その物件に結局有効な運用方法が見いだせず、空き家となるのは由々しき事態です。誰の住まいにもならない一方で賃貸などによる収益性が期待できず、固定資産税や都市計画税などが持ち出しになるためです。ただ、昨今社会でいわれている空き家問題は、このような個々の空き家が増えることで、社会インフラにとって大きな問題になることを指しています。空き家問題が世の中にどのような課題となっているのか、そして国や自治体はどのような対策を掲げているのかを見ていきましょう。
世の中が空き家ばかりになるとどうなるか
空き家が増えると、衛生面および治安面で問題があります。当然すべての空き家ではありませんが、空き家は居住中の物件に比べ散らかりやすく、外からも庭の残置物が確認することのできる空き家も多いです。時々、公道である道路まで所有物やゴミがあふれ出ている物件を見かけます。これまで国や行政も積極的に注意喚起をしてきたものの、基本的に空き家は私有物であり、強権的な対応は長く出来ませんでした。
このような空き家は治安面の問題も顕著です。以前四国のある島に逃亡した容疑者が、空き家を転々として隠れ続けたという事例がありました。そこまで仰々しいケースではなくても非行の現場などに使われやすい空き家に対しては、国や自治体も長年対策を進めています。近年になりリノベーションなどの風潮も拡大してきましたが、必要な工事費は物件所有者の負担であるため、消極的になる所有者も多いものです。
いま日本に空き家はいくつあるのか
では、日本に空き家はいくつあるのでしょうか。2013(平成25)年、総務省統計局によって「住宅・土地統計調査」が発表され、全国に約820万戸の空き家があると発表されました。不動産業界をはじめとして、大きな話題になりました。その後、2018(平成30)年により深刻化した約850万戸の空き家実態が報じられましたが、社会的インパクトとしては2018年の方が大きいものでした。

出典:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf
不思議なのは、2018年を最後に2024年現在に至るまで、新たな空き家率は発表されていないことです。2023(令和5)年に住宅・土地統計調査の最新版が発表されたのですが、空き家率は2018年以降の調査がなく、アップデートされた情報は提供されませんでした。
約820万戸は洗濯物を干していなかった件数?
一説によると、この調査はきわめて簡素で、外観から物干し竿などの外観を見て、少しでも生活感が無いと空き家にカウントしたという話を聞くほどです。もちろん行政の調査方法は詳しく発表されていないため、これらの指摘は推測の枠を出ません。
いずれにしろ実態数よりもかなり多くの物件が空き家と認定されて、約820万戸という数字が生まれ、センセーショナルに報じられていることは間違いなさそうです。
加えて統計直後から指摘されていたのが「賃貸住宅の割合」です。約820万戸のうち、賃貸オーナーにとってもっとも気になる賃貸住宅の割合は発表されていません。こちらも一説によると、約5割程度が空き家としてカウントされているのではないかという指摘もあります。また2020年からコロナ禍により在宅勤務(リモートワーク)が急速に広がったことも受け、空き家の有効活用が期待されるようになりました。この流れからも、空き家の数を公表し社会的にアピールするのではなく、あたらしい方法が模索されていることを示しています。
2024年現在はこれまでのような経緯もあり、住宅・土地統計調査の約820万戸の数字が大きく扱われることは無くなりました(一部の週刊誌などでは残っていますが)。ただ、数字の正確性はもとより表面化した問題に対し、行政が積極的な施策を打ち出すようになっています。もし止むを得ず空き家を所有しているときに、注目しておきたいのが「管理不全空き家」という言葉です。
空き家対策特措法と管理不全空き家
空き家の増加を分析するときに、大きな疑問となるのは「なぜ所有者は空き家を解体して更地にしないのか」という点があります。解体費用がかかる点や、更地の見栄えなどもありますが、より大きな点は税金の減免措置です。
所有している土地に上物を設置すると、土地に課税される固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。その上物が空き家となっていても適用は変わりません。先の大戦によって焦土化した日本を復興すべく、建物を積極的に建てるために推奨された取組みです。この減免措置の対象外になるから空き家を放置している、という所有者も、決して少なくはありませんでした。
ところが2015年になり、空き家の増加を抑制するために空き家対策特措法が制定されます。衛生的・治安的に問題のある空き家に対し、行政は定期的な助言や指導を行います。それでも悪影響が継続されると認められる空き家に対して、行政権限により解体する「行政代執行」が設定されました。実際に200件を超える行政代執行(略式代執行を含む)が実施されたという報告があります。
管理不全空き家は特定空き家の前段階
これだけの行政代執行が行われても、根本的な解決には至りませんでした。2023年6月7日の参議院にて空き家対策特措法の改正案が可決・成立します。改正法は空き家特措法のように放置すれば特定空き家になる物件だけではなく、その前段階の「放置すれば特定空き家になる可能性がある物件」をあらたに管理不全空き家として指定し、状況が改善されなければ固定資産税や都市計画税が減額措置となります。
つまり税金の減額はこれまで複数の助言・支援を経てはじめて行使されたものの、今後は待たず、かつ緻密な連絡をせずに実施することも有り得る、という姿勢が示されたことになります。空き家を所有していて、国や自治体に注意されたら対策しようと受け身の姿勢を取っている方は、先んじて動く必要があるでしょう。
2023年6月の可決を受け、2023年12月13日に同法は可決しました。空き家対策特措法にて200件を超える行政代執行が行われたため、2024年度中に一定程度の行使は行われると考えられます。
空き家問題に詳しい専門家に相談しよう
所有する空き家の今後に対策をといわれており、土地所有者がどうするべきかはわかりません。行政がどれくらいの積極性で権限行使をしてくるかも含め、可能な限り早い段階で専門家に相談しましょう。不動産に詳しい不動産仲介や管理会社はもちろん、税金の専門家である税理士も管理不全空き家や周辺状況について、高い専門性を有しています。
とはいえ第一歩をどのように動き出すのかわからない方は、本メディアの実家相続相談サイトに問い合わせをしましょう。空き家によってすぐに対策を打った方がいい場合もあれば、時間的余裕がある場合もあります。所有する物件がどちらに該当するかも含め相談することで、リスクを大きく下げられることに繋がります。
空き家問題を解決することは不動産である実家、および将来の相続リスクを軽減する第一歩になります。まずはお気軽に問い合わせし、相談をはじめてみましょう。