相続を「争族」しないために家族全員で留意したい3つのポイント
相続のなかで、トラブルが発生した状態を示す争族という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「あらそうぞく」と読みます。相続が発生するまで仲の良かった家族が、相続発生を皮切りにトラブルに見舞われ、お互いに距離が生まれてしまう状況です。なかには当事者同士での会話やコミュニケーションが成立しなくなり、弁護士を通してしか交渉が出来なくなる場合さえあります。
自分がいま所有している資産を子どもや孫に送るとき、争族になっても仕方が無いと思う人はいません。相続を争族にしないために、私たちは何が出来るのでしょうか。争う族を回避するには確実に、かつ早めに手を打ちたい3つのポイントがあります。
争族は富裕層だけの問題ではない
さて、相続と聞くと充分な資産がある富裕層や地主だけの話だと認識している人が数多くいます。残念ながら事実ではありません。専門家のあいだでは、相続をめぐるトラブルの8割前後が総資産5,000万円以下の家庭で発生するといわれています。
自分の家庭も争族になる可能性がある
総資産5,000万円以下とはどれくらいの状況でしょうか。現金で5,000万円といえば富裕層という解釈もできますが、相続資産には現金のほか不動産、証券、退職金なども対象となります。たとえば東京や横浜など首都圏において一戸建てやマンションの区分所有は、資産額3,000万円前後になることも珍しくはありません。
相続資産のうち半分以上が不動産資産だとすると、どのような状況が考えられるのでしょうか。それは相続人によっては現金ではそれほど受け取れず、不動産や証券などの資産での相続が発生する可能性が十分にあるということです。
一方で相続税は現金でしか支払いできません。築年数の経過した実家が誰も相続する人がいないので、相続税分として国に差し出すということは不可能です。そのため、現金よりも不動産などの相続が多い相続人は、「相続税支払いのために現金を用意する」ことが求められます。相続においては、これがとても厄介です。
兄弟間において「兄は現金を受け取ったのに、自分は不動産を受け取ってどうすればいいんだ」という気持ちの齟齬が発生する理由の一つです。今回の例のようにすぐに売却できる都市型マンションの一室であればいいのですが、郊外の旧型家屋などだと、すぐに不動産の売却(イコール現金化)できないのも事実です。
争族を回避するのは、家族全員で早めに話し合うこと
家族全員が現金での相続を望んだとしても、そもそも相続資産として無いものはありません。争族を回避する1つ目のポイントは、誤解を恐れずにいえば家族間で「妥協すること」といえるでしょう。家族の誰かが現金資産以外を相続しなければならないということを早めに自覚し、家族全員で納得することです。家族兄弟のひとりでも「自分はこの相続では納得しない!」では相続はまとまりませんし、相続後も心理的な諍いの感情を残すことになります。また前項にある実家のように、時に不動産ならぬ「負動産」をどうするかは、相続における大きなポイントのひとつになります。
①遺言の内容や生前贈与を可視化したい
では被相続人になる人は何ができるのでしょうか。配偶者や子ども、孫に対して「自分が亡くなっても仲良くしろよ」も確かに効果的ですが、死後に本当に仲良くしてくれるのか絶対の保証はありません。死後に予期せぬトラブルが生じたときに草葉の陰から再登場し、遺された家族に生じた相続トラブルを仲裁すればいいのですが、まず不可能です。これからも可能になることはないでしょう。
そうであれば、自分が元気であるうちに相続はこうして欲しいという意志を明確にしておくことです。現在、相続において意志を伝えるのは公的遺言と生前贈与です。それぞれ見ていきましょう。
②公的遺言は付言事項を活用したい
公的遺言は「自分が亡くなったらこうしてほしい」を残すメッセージです。 エンディングノートも活用できますが、公的遺言は法的拘束力があるため、まずは公的遺言の作成を優先させましょう。相続における法定相続の決まりよりも、遺言に書かれた内容は優先されます。自分に何かがあったとき、遺された家族に相続トラブルが発生する兆しが少しでもあるなら、公的遺言を残しておくようにしましょう。一昔前なら「遺言なんか作ると早く寿命が来る」と言って憚らない人もいたのですが、最近は大切さが理解されてきているようです。
公的遺言において大切にしたいのは付言(ふげん)事項です。付言事項とは資産配分以外の家族に向けたメッセージです。「自分にもしものことがあっても仲良くしろよ」「家族でケンカをしないように」「これまでありがとう」といった気落ちのこもったメッセージを記載することによって、家族トラブルに繋がるリスクを軽減します。相続のトラブルに感情の部分がいかに多いかを証明する話ともいえるでしょう。
③生前贈与は家族全員で共有したい
もうひとつは生前贈与の可視化です。特定の相続人に向けて贈与をすることで非課税措置などを活用できる仕組みですが、相続人間に差がつくことがネックです。相続が発生した時にはじめて「〇〇はこういう贈与を受けていたのか」よりも、家族において生前贈与は可視化したいもの。子どもの有無や環境によって相続人間の差異は仕方が無いので、理想論の部分もありますが、争族としないための2つ目のポイントといえるでしょう。
3つ目のポイントは早めに専門家に相談すること
あとひとつポイントが残っています。相続を争族にしないために残る3つ目のポイントは、早めに相続の専門家に相談することです。早めに家族間で話し合いの場を設けても、それぞれが自分の主張を繰り返すのみでは相続トラブルのリスクは減少しません。この場合の専門家とは税理士や司法書士、または彼らと効果的に繋げる相続対応の専門家のことを指します。
解決するには、これまで数多くの争族を見てきた税理士や司法書士などの専門家から「このような対策をすれば相続トラブルを回避できる」という前例を共有して貰い、家族間で対策を進めることです。
実家をどうするかは大きなポイント
専門家に相談することによって解決できる代表的なポイントは、家族が育った実家をどうするかです。実家は家族全員にとって思い出深い場所ではあるものの、築年数を重ねた不動産資産でもあります。現金を相続する相続人がいる一方で、誰かが実家を相続してもメンテナンスなどの手間がかかり、手に余ってしまうでしょう。
対策は早めに専門家に相談し、誰か特定の相続人が住むのであれば、それを相続人の意志とすること。そうでなければ早めの売却による現金化を目指すようにしましょう。現金にすることによって特定の相続人が実家を承継する必要が無くなるほか、実家の売却益を相続資産の一部に加えることもできます。
実家の相続に関しては、「実家相続相談センター」に気軽に相談するようにしましょう。あらゆる相続の課題と同じく、相続など随分先の出来事と考える時点の方が効果的です。相続が近くなればなるほど、生前贈与や資産の組み換えなど、取ることのできる選択肢が減っていきます。この記事を読んで、自分たちも何か手を打たなければいけないかもしれない!と感じたら、まずは実家相続相談センターにコンタクトを取ってみることをお勧めします。