実家相続でそのまま住む場合のメリット・デメリット
相続が間近に控えており、相続する実家に住む予定の方もいらっしゃるでしょう。実家は小さなころに生まれ育った場所です。できれば実家に転居してでも、残しておきたいという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、すでにほかの地域での生活で安定している場合は、実家への引っ越しをためらうことがあります。実家に引っ越してみたものの、思っていた生活ができず、後悔する可能性もあります。
そこでこの記事では、実家に住むかどうかの判断ができるよう、相続した実家に住むメリットとデメリットについて解説します。税金に関するポイントにも触れますので、参考にしてください。

相続した実家に住むメリット
相続した実家に住む場合のメリットを紹介します。実家に住むことでどのようなメリットを得られるのか、後述するデメリットよりもメリットのほうが優先されるかについて確認します。ここでは、次のようなメリット・デメリットについて詳しく解説します。
住み慣れた住環境が約束される
生活するうえで、近隣の住人、駅やスーパーマーケット、公共機関へのアクセス、自然や娯楽施設などの住環境は大切です。近くに住んでいる人が顔見知りであれば、困ったときにサポートしてもらったり、トラブルを解消しやすかったりと何かと便利です。
すでに住宅を取得しており、その地域に慣れ親しんでいる場合は、実家への引っ越しは難しいかもしれませんが、今よりも住環境が改善されるなら、実家に住むメリットはあるでしょう。
思い入れのある実家を維持できる
幼いころから生活してきた実家です。相続税評価額などのお金には換算できない価値があるでしょう。実家を売却したり、賃貸物件としてリフォームしたりすると、これまでの実家とは一変してしまいます。
これまでの実家として維持・管理できるのは、そこで生活していた相続人だけです。代々、生家として受け継ぎたい場合は、修繕を繰り返しながら実家を維持したほうが安心です。
居住費をおさえられる
すでに自宅を所有しており、新たに実家を取得すれば、固定資産税や維持費の負担が大きくなります。賃貸として活用する場合でも、すぐに借り手が見つからなければ、赤字続きとなります。
実家を相続し、費用をできるだけおさえたいためには、実家に住むのもひとつの方法です。
相続した実家に住むデメリット
一方、相続した実家に住んだ場合のデメリットもあります。メリットのほうが魅力のある場合はデメリットへの対策をしておくと安心です。ここでは代表的な実家に住むデメリットを紹介します。
近い将来、修繕費が発生する
一般的に、実家を相続した時点で、築年数は数十年以上です。特に一戸建ての場合、相続登記をした直後から修繕が必要になる可能性があります。壁紙や外装などの目につきやすい修繕であればいいですが、耐震性補強や給排水管修繕となると、大きな費用負担となります。
マンションであれば、修繕積立金を毎月支払っていますが、積立金不足となっている管理組合もあり、修繕時に追加の資金を請求される可能性があります。
ただし、新築住宅であっても、いずれは修繕費が必要になるため、住宅を所有する以上は避けては通れない問題です。
長く離れていた場合は不便さを感じる
一般的に実家は思い入れのある、住み慣れた場所です。しかし、相続発生時には、ほかの地域での生活が長く、実家周辺よりも住み心地がよくなっているケースもあります。
実家での生活が居心地がよかった思い出があったとしても、実際に暮らしてみると不便さを感じるかもしれません。実家に住むかどうかを検討するときには、何度か実家に足を運び、期待通りの生活ができるか確認しておくと安心です。
広さや間取りがライフスタイルに合わない
住宅の広さや間取りは、家族構成やライフステージによって異なります。子育て世帯であれば、子ども部屋のある広さや間取りが必要ですが、子どもが独立したあとの夫婦二人世帯では、バリアフリーの施されたコンパクトな間取りのほうが生活しやすくなります。
住み心地の良かった実家は、小さいころであり、現在のライフスタイルに合っていないことも考えられます。生活しにくい間取りであれば、リフォームも検討しなければなりません。
実家相続で気を付けるべき点
譲り受けた実家に住むかどうかにかかわらず、実家を相続する場合に気を付けるべき点をまとめます。さまざまな問題に発展する可能性もありますので、早めの対応が重要です。
①単独名義にすること
不動産は、単独で所有することのほか、複数人で共有することも可能です。しかし、実家を相続し、名義変更する際には、単独名義にすることをおすすめします。単独名義を前提で、遺言書による指定がないなら、現物分割や代償分割による分割を実施します。
仮に共有名義で実家を利用すると、売却する際には、共有名義全員の合意が必要となります。また共有名義人が亡くなると、子や孫へと相続され、合意を得るのが困難になります。実家を有効活用するためにも、単独名義にしておきましょう。
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②相続登記をすること
実家の名義変更とは、相続登記をすることを意味します。登記をすることで、第三者に対して、実家の所有権を主張できるようになります。これまで相続登記は任意でしたが、2024年4月1日から義務化されます。
相続で実家を取得したら、3年以内に相続登記をしなければなりません。登記を怠った場合は、10万円以下のペナルティが課せられる可能性があります。なお、2024年4月1日以前の相続も対象(3年の猶予期間あり)となります。
③住まない場合は空き家にしないこと
なかには、「とりあえず売却するのは気が引けるので、相続した」という方もいるでしょう。相続時に自宅を持っていれば、実家に住む機会はありません。ただし、このような状況でも、定期的に訪問するなどして管理を怠らないことが重要です。
近年、管理が不行き届きの建物の異臭や倒壊により、近隣住宅に悪影響を与える事例がみられ、「空家等対策特別措置法」が2015年に施行されました。実家が「特定空き家等」「管理不全空き家」に該当すると、行政による指導を経て、最終的に自治体により解体される可能性があります。この解体にかかる費用は所有者が負担しなければなりません。さらに、この空き家に該当すると、固定資産税等の減額措置の対象外となり、税金が高くなってしまいます。
実家に住まない場合には、定期的な管理をして、長く放置しないようにしましょう。
④建物を解体する場合は慎重に
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土地の面積200㎥までの宅地に対して、固定資産税は6分の1に減額されます。建物がなければ住宅用地に該当しなくなりますので、固定資産税額が6倍、都市計画税額が3倍になります。ただし、建物を新築した場合には、住宅用地の特例措置を適用できるうえ、建物でも税額軽減が受けられます。
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このように、居住用の土地と建物には優遇措置がありますが、建物がないと適用できません。解体する際には、税金も考慮して実行しましょう。
まとめ
この記事では、相続した実家に住むメリットとデメリットをまとめ、実家相続で気を付けるべき点を解説しました。実家を維持したいという気持ちは大切ですが、将来の状況を考えて選択しなければなりません。
実家を相続する場合に、どのように相続手続きを進めていくか、相続税はかかるのか、実家に住むのは適切かなど、相続に関することは実家の相続に強い実家相続相続センターに相談してみましょう。