不動産に関する相続手続について
不動産を相続する場合の登記手続が必要か否か
一般に、「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と規定されています(民法177条)。
物権とは所有権に代表される物を支配する権利を意味します。売買などで物権が売主から買主に移転する場合は登記をしていないと、買主以外の人には自分が権利者であるとは言えないという意味で理解すると良いと思います。
つまり、登記手続をしておかないと、買主から不動産を買ったという別の人が現れた場合や買主にお金を貸していた人が不動産を差押えた場合に、「私の不動産だ!!」と言えない(言っても権利者として保護されない)ことになりますし、別の買主が登記をしてしまったら、原則として不動産の権利は登記をした人に移転したことになります。
不動産の権利を取得したら、遅れなく登記をする必要があるのは、この規定があるからです。
不動産の権利を取得した場合
それでは、相続で不動産の権利を取得した場合はどうなるのでしょうか。
この点について民法は以下のように規定しています。

2項は債権の規定なので本稿で重要になるのは1項になります。
1項では、次条(民法900条)及び901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記を備えないと第三者に対抗することができないと規定しています。
法定相続分と代襲相続分についての規定
では、900条と901条では何が規定されているかというと、法定相続分と代襲相続分について規定されています。


法定相続分とは、法律で定めた相続分になります。遺言書がない場合で、相続人が複数いる場合は、この規定によって相続分が決まります。
例えば、亡くなった方に妻(A)と子2人(BC)がいた場合は、Aが遺産の2分の1を、BとCはそれぞれ4分の1を相続することになります。
この相続分は法律で決まった割合ですから、誰もが予想できる相続分ということになります。
民法899条は、この法定相続分を超える割合で不動産の権利を相続した場合は登記をしなければ、法定相続分を超える分の権利について第三者に対抗できないと規定しています。
遺言書があった場合の適用は?
899条の規定自体は遺言書があっても適用されます。
例えば遺言書で、実家をAに相続させると書いてあっても、Aは2分の1を超える分については登記をしないと第三者に権利を主張できません。もし、BやCが法定相続分について登記手続をしてしまい、第三者に権利を移転させたら権利を主張できなくなる可能性が高いと思われます、
これは、遺産分割協議をして、Aが実家を相続することになった場合も同様です。相続であっても権利を取得したのであれば直ぐに登記をする必要があり、そのためには協議をしている間に司法書士に依頼するなどして準備をしておかれるのが良いと思います。
なお、BとCが相続放棄をした場合は、登記を備えなくても対抗はできます(それでも、登記をしなかったことで行政罰を受ける可能性はありますので、ご注意下さい)。相続放棄をするということは最初から相続人ではなかったことになるので、相続人はAだけということになるからです。
まとめ
不動産に関する相続手続きについて解説をしましたが、要件を満たしているか、どのような効果があるかなどひとつの特例について理解するだけでも時間がかかります。
相続は、早めに取りかかるほど選択肢も多く、負担の少ない相続が可能です。相続について少しでも不安がある方は、親の家の相続に強い実家相続相続センターにご相談ください。